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ヒロシマを生き抜く

図書館読書感想。夏休み期間は貸出期間が長くなるのを利用して、ちょっと大著を読んでみようと思った。上下巻合わせると1000ページ近く。結局約1ヶ月の期間中には読み終わらず、さらに2週間延長してギリギリで読了しました

ヒロシマを生き抜く〈上〉―精神史的考察 (岩波現代文庫)ヒロシマを生き抜く〈上〉―精神史的考察 (岩波現代文庫)
(2009/07/16)
ロバート・J. リフトン

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著者はアメリカの精神医であり研究者。原著はもちろん英語で1969年刊行。1971年には邦訳版が出て、さらにこのほど岩波現代文庫版として復刻されたものがコレ。被爆17年後って話だから1962~3年あたりかな。元々研究者として来日していた著者が広島を訪ね、広範にわたる被爆者へのインタビュー調査を行い、その体験、負った障害、放射能の恐怖、そして生き残ったことへの意識等、未曾有の破壊行為の残した精神的影響を分析した最初の著作、と言われてます。

17年も経って最初?しかもアメリカの研究者の?って最初は思った。でも、それほどの時をおかなければインタビューという行為自体が難しかったし、そして被爆者ではなくとも日本人にとって、広島に触れることは困難だったのだ、ということが見えてきた。
「生き残ったことへの罪意識」。幸いにも自分はそうしたことを今までほとんど意識することなく生きてきたけれど、多少なら想像することはできる。そうした意識が、大災害のようなものでなくごく一般的な「死」に立ち会った時にも起こりうるというのも理解できる。でもまさに「地獄」としか形容できない現実を見て、とんでもない規模の死を目撃して、なお生き残った者の罪意識というのは…やはり想像を絶する。自らの生に対する罪意識を持ちつつ、一方で「圧倒的多数を犠牲にして生き残った」のだからなんとしても生き抜かねばならないという、相反する感情を持ちつつおくる生。そうした不安定にならざるをえない心理状態において、例えば核実験の実施といったニュースがどれほどの影響を及ぼしたか。ごく最近にも核実験のニュースはあるけれど、そんな影響を考えてみたこともなかったのでこれは衝撃だった。
最終的には、「多くの死を前にして生き残った近年の事例」として、アウシュヴィッツ強制収容所の生存者との比較対照などもあるけれど(著者自身の研究ではなく他研究との比較)、いずれにせよ、深く刻みつけられた己の生に対する罪意識と、それを克服しようとする心の働き、行動の類型を比較的捉えやすく示して、しかし少なくとも調査時点ではそれに成功しているものはいない、というか克服などあり得ないのではないかと思わせる結論だったと思う。それだけ衝撃が大きいとも言えるし、克服したように見えても、状況の変化によって不意に再び現れてくることが往々にしてあり、それがまた不安定を呼び起こす要素になっているから。

心のメモ。
「ただ人だけが、グロテスクなほどに不条理な死を発明することができた。」
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